“TensorFlowではじめる株式投資のためのディープラーニング”は株式投資にディープラーニングを応用したい方向けの本です。難易度は高いです。
株価にはランダム性があるためディープラーニングとは相性が悪いです。ですが、本書では株価の変動を数式でモデル化したり、学習しやすいデータになるように前処理を行なって株価予測の精度を高めようとしています。
概要
本書は大きく分けて以下の3つの例が紹介されています。
- 古典的な回帰分析を用いた株価予測
- ディープラーニングによるシミュレーション
- RNNによるシミュレーション
“古典的な回帰分析を用いた株価予測”ではディープラーニングを使っていませんが、前処理やt検定、統計学の話は勉強になりました。
“ディープラーニングによるシミュレーション”や”RNNによるシミュレーション”ではブラック・ショールズモデルという株価変動のモデルを使ってシミュレーションします。
1回読んだだけでは理解できず難しかったです。ディープラーニングの理解力が試されれる内容でした。
このレベルを理解できると他の分野でもデータサイエンティストとして通用するスキルになると思いました。
ディープラーニングに関する基礎知識も紹介されていますが、知識が浅い方は”ゼロから作るDeep Learning”を読んでディープラーニングの仕組みを理解しておくことをおすすめします。
デメリット
デメリットは、自分で株価のデータを用意する必要があることです。
本書にKABU+からデータの取得先が掲載されていますが有料です。
私は3ヶ月契約で約5,000円のプランを購入し、購入日から過去約2年間のデータを利用しました。
株価予測として使えるか?
この本の内容が株価予測の手法として実用可能かどうか考えてみました。
この中で実際に役立ちそうなものは”古典的な回帰分析を用いた株価予測”でした。
この方法を使って”株価が上昇する”と予想した銘柄を上位から10%購入した場合、日経平均株価よりも良い成績を出しました。計測期間によりますが数%〜十数%良いパフォーマンスを出していました。
上昇率は前日終値から当日終値を使っています。
特に5%乖離率の特徴量が予測に大きな影響を与えていました。
取引手数料、板の厚さなどは考慮していないため実際のパフォーマンスはこの結果より下がると思います。
さらなる検証や、改良が必要だと思いました。
まとめ
ディープラーニング系の本の中では内容が難しいですが、時系列データの前処理の仕方や検定の仕方、モデルを定義してシミュレーションする手法は学ぶ価値があると思いました。
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