“はじめての上流工程をやり抜くための本 システム化企画から要件定義、基本設計まで”のレビューをします。
上流工程とは?
ソフトウェアの開発手法の1つに”V字モデル”という手法があります。本書では以下のように紹介されています。(Ph.は”フェーズ”の略です)
Ph.0 経営戦略の策定
Ph.1 システム化企画
Ph.2 要件定義
Ph.3 基本設計
Ph.4 詳細設計
Ph.5 プログラミング/単体テスト
Ph.6 ソフトウェア結合テスト
Ph.7 システムテスト
Ph.8 業務運用
Ph.9 システム&プロジェクト評価
本書では上流工程は上記のPh1.〜Ph.3としており各フェーズについて解説しています。
構成
本書の構成は以下のようになっています。割合は主観です。
- 上流工程とは 10%
- システム化企画 80%
- 要件定義 5%
- 基本設計 5%
システム化企画の内容が大半を占めていました。
”ベンダー企業の若手社員とベテラン社員の2人が取引先企業に訪問し、システム化企画していく”
というストーリーに沿って重要なポイントを解説しています。ストーリー性があるため実際の現場をイメージしやすく記憶に残りやすいです。
また、若手社員が失言をしベテラン社員がカバーするというやりとりが多いので、”どのような発言が失言になるか?”という点は非常に参考になりました。
取引先の「〜がしたい」という漠然とした要望に対して、中長期計画を聞いたり、業界分析、業務分析、投資価値分析、予算の見積もりなどの話紹介されていました。経営コンサルティングのような印象が強かったです。
一方、要件定義や、基本設計については詳しく書かれていませんでした。これらについて詳しく知りたい場合は他の本を参考にするといいでしょう。
まとめ
上流工程に関する本ですが、”システム化企画”の話が多くIT系の経営コンサル本を読んでいるように感じました。
「取引先企業から○○をシステム化して業務改善したいと依頼がきたがどう対応すればわからない」
のように取引先企業がシステム化の具体的なイメージがない状況でどう対応すれば良いか困っている人には多いに役立つと思います。
一方、上流工程について広く浅く知りたいという人にとっては内容が難しすぎるのではないかと思いました。
プログラマや、SEの人は作るシステムについて考える事が多く、そのシステムが事業に与える影響について深く考える機会は滅多に無いのではないしょうか?
システム化の決定に至るプロセスや、システムがもたらす事業価値を見積もるような視点を学ぶ事でより良い提案やリスクの判断ができるようになるのではないかと思いました。
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