私は普段はConoHa VPSを愛用しており、VPSを5台、メールサーバーを1台使っています。
しかし、ConoHa VPSと分けてVPSを使いたい状況になったので他のサービスを探していたところ、同社が提供しているクラウドVPS byGMOを選びました。
サーバーを構築して運用開始したら、
「同じメモリ2GB、CPU3コアのVPSで、ウェブアプリやDB構成はほぼ同じ、アクセス数も大差ないのはずなのにクラウドVPSbyGMOの方の障害メールが多すぎる!!」
という事態に・・・。今回はその経緯や原因を紹介します。
CPUのスペック差が大きすぎる
結論を先に申し上げると、ConoHa VPSとクラウドVPS byGMOのCPUのスペックが全然違いました。クラウドVPS byGMOは非常に低スペックなCPUでした。
各VPSで”lscpu”コマンドを実行した時の結果を載せます。調査日は2023年8月19日です。現在は変わっている可能性があります。
クラウド VPS byGMO
V2プラン:メモリ2G、 CPU 3vCPU、SSD100GB、1,912円/月(6ヶ月契約の場合)
OS:AlmaLinux 8.7 (Stone Smilodon)
アーキテクチャ | x86_64 |
CPU 操作モード | 32-bit, 64-bit |
バイト順序 | Little Endian |
CPU | 3 |
オンラインになっている CPU のリスト | 0-2 |
コアあたりのスレッド数 | 1 |
ソケットあたりのコア数 | 1 |
ソケット数 | 2 |
ベンダー ID | GenuineIntel |
CPU ファミリー | 6 |
モデル | 85 |
モデル名 | Intel(R) Xeon(R) Silver 4214 CPU @ 2.20GHz |
ステッピング | 7 |
CPU MHz | 843.723 |
BogoMIPS | 4400.00 |
仮想化 | VT-x |
ハイパーバイザのベンダー | Parallels |
仮想化タイプ | コンテナ |
L1d キャッシュ | 32K |
L1i キャッシュ | 32K |
L2 キャッシュ | 1024K |
L3 キャッシュ | 16896K |
フラグ | (省略) |
ConoHa VPS
2GB VPS割引きっぷシンプル: メモリ2G、 CPU 3vCPU、SSD100GB、2,033円/月(6ヶ月契約)
OS:CentOS Stream 8
アーキテクチャ | x86_64 |
CPU 操作モード | 32-bit, 64-bit |
バイト順序 | Little Endian |
CPU | 3 |
オンラインになっている CPU のリスト | 0-2 |
コアあたりのスレッド数 | 1 |
ソケットあたりのコア数 | 1 |
ソケット数 | 3 |
ベンダー ID | GenuineIntel |
CPU ファミリー | 6 |
モデル | 85 |
モデル名 | Intel(R) Xeon(R) Gold 6230 CPU @ 2.10GHz |
ステッピング | 7 |
CPU MHz | 2095.078 |
BogoMIPS | 4190.15 |
ハイパーバイザのベンダー | KVM |
仮想化タイプ | 完全仮想化 |
L1d キャッシュ | 32K |
L1i キャッシュ | 32K |
L2 キャッシュ | 4096K |
L3 キャッシュ | 16384K |
NUMA ノード 0 CPU | 0-2 |
フラグ | (省略) |
比較
サービス名 | CPU MHz |
クラウド VPS byGMO | 843.723 |
ConoHa VPS | 2095.078 |
両サービスのCPU MHzを比べると違いが一目瞭然でした。性能が2.5倍も違います。障害メールが多発した理由も頷けます。
CPUとvCPUの違い
ConoHa VPSのCPUの表記は”CPU 3コア”一方、クラウドVPS byGMOのCPUの表記は”vCPU 3コア”でした。
vCPUとは仮想CPU(virtualCPU)の意味です。物理的には1個のCPUでも論理的に複数のCPUとして動作させることができます。例えば3GHzのCPUを、1GHzのCPUが3つあるかのように動作させることができます。
(上記の”クラウドVPS byGMO”の表では 843.723MHz x 3 = 約2.5GHzになり、モデル名に書かれている2.20GHzより大きいですが、これはターボブーストを利用して最大周波数を上げているためだと思われます。)
契約前は
「同じ3コアならCPUでもvCPUでも大差ないだろう」
と思っていましたが、vCPUと書かれているVPSやレンタルサーバーはCPU性能が低い可能性があるため注意した方が良さそうです。しかし、CPU性能まで書かれているサービスは少ないため、今回のようなレビュー記事やユーザーの声を聞いて見極めるしかなさそうです。
問題発覚の経緯
クラウドVPS byGMOのVPSのサーバー構築は、普段conoHa VPSで構築している方法とほぼ同じだったため要求スペックもメモリ2GB、CPU3コアで十分だと思っていました。
サーバーはzabbixで監視しており、監視項目は、サービス監視、ログ監視、サーバーのリソース監視、DB監視です。今回通知頻度が高かった障害メールは以下の2つです。
- Load average is too high (per CPU load over 1.5 for 5m)
- High memory utilization (>90% for 5m)
いずれもリソースに関する障害メールでした。ConoHa VPSの方でも時々あった障害だったので最初は気にしていませんでしたが、その後通知メールの頻度が増加。
「何かがおかしい・・・」と思い始め以下の調査を始めました。
- アクセス数増加やボットによる外部的要因が原因か?
- ウェブサーバーやDBサーバー、OSの設定などソフトウェアに関する問題か?
- CPUやメモリなどのハードウェアに関する問題か?
1、2はよくある障害のためすぐに気づいて調査しましたが、3は盲点で気づくのに時間がかかりました。
どこも似たような価格設定ではあるし、同じ企業が運営しているサービスのためスペックに差はほぼないと思い込んでいました。
今回は障害メールが多発して
「も、も、もしかして、、ハードウェアの性能が低すぎるのか??」
と気づき、CPUやメモリを調査したところ今回のような原因を発見することができました。
VPSのサービスを選ぶ参考になれば幸いです!